information
- 所在地
- 東京都新宿区高田馬場
- 用途
- カフェ&ギャラリー
- 構造
- RC造地下1階部分
- 床面積
- 87.60㎡
- 施工
- todo
- サイン
- 永井 律
- クッション
- 大村 晋二郎
- 完成年
- 2023.2.28.
- 写真
- 山本 渉・唐 辰鑫
background
中国人学生向けの美大予備校、日美美術学院の建物内にあるカフェを改装する計画である。
立地は多くの人が行き交う高田馬場駅戸山口改札を出てすぐの場所にある。
既にカフェとしてオープンしていたが、改めて店の方向性を練り直し美術学校が運営するという特徴を踏まえた店作りで再オープンを目指すことになった。
この改装計画で取り組んだことは主に2つ
①ここにカフェがあることを外からわかりやすくすること。
②既存のカフェスペースに、製作のためのワークスペース、作品展示のためのギャラリースペースを加えた3つの機能を合わせた空間とすること。
そしてLab(ラボ)ということから「実験的」という言葉をこの空間の軸として考えることにした。
design
まずアプローチに関して、店のエントランスは地上から1mほど下がっているため通りから認識し辛いという課題があった。
そこでファサードにも客席を設け人々の滞留できる居場所をつくることにした。
少しスペース的に小さかったため階段の一部に仮設的なウッドデッキを置き、屋外ベンチ席を設けた。
元々ドライエリア置かれていた樹木をアプローチの中心に据えアイキャッチとし、ポスターフレームやネオンサインも加え、通りに対して近寄りやすい雰囲気が伝わるようにした。
次に店内ではカフェ、ワークスペース、ギャラリーに明確な境界を設けないことにした。
カフェを訪れた方々と製作体験や展示作品との距離(物理的・心理的)を縮めたいと考えたからである。
そのため間仕切り壁などは設けず、それぞれの範囲が重なりつつ家具の置き方で変化をつけるようにした。
そこで家具は距離の取り方、レイアウト変更に対応しやすいよう農業用の単菅パイプなどを組み合わせて分解可能なものにした。
また3つのスペースそれぞれの目的に応じて使い方を変化できる「家具的な」什器を製作した。
通常6面ある立方体から3面除いた立方体未満のような形状とし、カフェではテーブルやベンチ、ワークスペースでは収納棚、ギャラリーでは展示什器として機能する。
重ねたり、積み上げたり、並べたりすることで目的の機能に丁度よい使い方を見つけるきっかけとした。
例えば椅子にクッションを被せたり、家具自体も使いながら発展させていくことができる。
現状が完成ではなくこの場所に関わる方々が手を動かして発見し、クリエイティブに更新していくことがこのスペースにふさわしいあり方だと考えている。
今回の計画はそのための環境を整理することから始めた第一歩である。