CHAB DESIGN [チャブデザイン]

ENFUSE

information

所在地
京都市左京区岡崎
用途
カフェ
構造
RC造地下1階部分
床面積
287.46㎡
施工
レビック
完成年
2020.03.21.
写真
良知慎也

background

1933年に開館した京都市美術館が大規模改修され、歴史的な要素と新たな要素が重層する建築へとリニューアルされた。
旧エントランス前の広場が緩やかに彫り込まれ、スロープ状の広場を下りながらアプローチする新たなエントランスが地下へ設けられた。カフェスペース「ENFUSE」は、その地下に人々の溜まりを作ることを目的として計画された。

ここには美術館への来館者だけでなく来館目的外の利用者も自由に出入りできる。
気軽な休息の場であり、京都の歴史文化・食習慣を、食を通じて伝える美術館の文化的役割を担う場でもある。日常と非日常の接点となること、市民、旅行者どちらにとっても、開かれた居心地の良い場所を目指した。

design

この空間に足を踏み入れると外の広場が見える開放的なスペースがあり、奥に向かって徐々に開口部、間口が狭まっていく。
また奥行きがエントランスから客席の最深部まで34mあり鰻の寝床のように深い。
開放感が少しずつ落ち着きへと変わっていく、この細長い空間の特徴を活かし、京町家の一列三室の空間構成のように3つのエリアに分けることにした。
ただ明確に壁などで分けるのではなく家具の仕様や配置による居心地の違いで緩やかに分けた。

開放的な手前のエリアは円形のテーブルやスツール、スタンディングのテーブルを配置し活動的な場とし、カフェの賑わいがガラス越しに人々を呼び込むきっかけとなるようにした。
中間のエリアでは5mの長テーブルを配置し、偶発的に集まった人々の心地よい一体感をつくり、窓が少しずつ狭くなる奥のエリアにはソファ席を配置し、ゆったりと落ち着いたスペースとした。

家具は可動式の家具を中心に構成し、上記のエリア分けも柔軟に調整できるようにした。
また美術館内の色調と合わせ家具の色味はモノトーンとし、木部はパーチクルボードを使用し木目の要素を省くことでニュートラルな表現を目指した。
そして建築と内装が自然に繋がるよう建築の持つ要素をディテールに取り入れた。例えば窓際の鉄鋼丸柱に施された耐火塗装と同様のものをテーブルの丸脚にも塗装している。
またその丸柱を模倣した丸柱をカフェ区画内にある男性用トイレ入口前に立て、カフェ利用者の動線と分けるための仕切りとして商品ディスプレイとも兼ねた。

美術館は時に多くの作品と触れるため集中力を要して体力を消耗する場でもある。
そのような時に過度な空間の主張は必要ないと考える。余り深く考えずギアをニュートラルに戻せるようなカフェスペースを計画した。

ENFUSE
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