information
- 所在地
- 京都市下京区
- 用途
- フリースペース
- 構造
- RC造1階部分
- 床面積
- 29.67㎡
- 施工
- LOOWE
- 完成年
- 2020.05.01.
- 写真
- 良知慎也
background
創業150年。京都に根ざし時代の変化を受け止め、今尚新たな試みを続ける百貨店藤井大丸のエントランスにフリースペースをデザインする。
そこではアート作品の展示、期間限定のショップ、トークイベントなどが行われ、お客様がいつ来ても新鮮な驚きと発見に出会えるような場所とすることが求められた。
背景となりながら、時に背景だけを眺めていても成立する空間をデザインすることとなった。
design
例えば広場で開かれる蚤の市では段ボール箱が並べられることにより場が生まれ、片付ければあっという間にいつもの景色に戻る。
何てことはないが非常に単純で合理的に広場は変化し許容している。その合理性を応用した。
約30m2の「床」と2本の「柱」が既にあり、そこに「箱」を置く。この3つの要素で空間を作ることにした。
その3つの要素が、
①箱
75mmずつサイズの異なるマトリョーシカのような重ね箱とした。900mmから225mmまでの10種類の箱は家具から道具の境界のようなグラデーションを成している。
相似関係の箱は置き方によって多様なスペースの使い方を可能にし、様々な見え方を作り出す。
また使わないときは一塊の立方体サイズにまでコンパクトに片付けることもできる。
②床
2色のゴムチップによる床とした。混ぜ合わせることで不規則な表情が生まれ、上に置かれるものを選ばず変化を許容する。
ゴムによる弾性を持たせることで重ね箱を傷めにくくし、可動させることを積極的に行える環境とした。
③柱
フラットで均一な面と、メッシュ状の面の2種類の面で構成した。メッシュ状の面の背面には65mmの間隔を開けミラーを設置し奥行きのある二層構造とした。
ミラーに反射したメッシュの鏡像とメッシュ本体が重なることで干渉し合いモアレが起き流。遠景と近景でメッシュ模様の見え方に変化を作った。
またミラーに映り込む人やモノが変化し続けることで、多様性を受容し均一な面とのコントラストが生まれる。
これらの要素が相互に関係しあい、人の往来、周囲の環境とも重なり合うことで多元的な空間となる。