information
- 所在地
- 大分県大分市府内町
- 用途
- 店舗兼事務所
- 構造
- RC造地上3階部分
- 床面積
- 38.78㎡
- 施工
- 足立工務店
- サイン
- 足立拓巳
- 完成年
- 2022.12.28.
- 写真
- 良知慎也
background
多くの店舗が集まる大分市中心部の一角。
築46年の雑居ビル3階の1室をカフェ・物販・ギャラリー・事務所を兼ねた複合スペースへ改修する計画である。
・クリエイターの生み出すモノの価値を伝えること
・何かを必要とする人の話に耳を傾け解決へ導くこと
この2つの運営方針を掲げ、「クリエイター」と「何かを必要とする人」を繋ぎ、この両者が気軽に集まって関係性が混ざりあっていく場が求められた。
訪れた人へ伝えるため、まずはこの場にあるモノ全てを理解しておきたいという要望から、内装・家具の意図、材料から作り方に至るまでを施主と共有して設計を進めることとなった。
design
元々は居室として使われていた空間をスケルトンにした状態から計画を始めた。
空間にある要素はRCの荒々しい躯体、上階から落ちる排水管、居室の面影を残すタイルや砂壁の一部である。
これらを活かしながら新たな要素を加えるよう設計を進めた。
まずこの小さな空間でカフェ・物販・ギャラリーの用途に対応するため、フリースペースを大きく確保する必要があった。
そこでカフェのカウンターは入口から離れた窓側に設け、給排水経路を覆う床上げ範囲も最小となるように計画した。
フリースペースでは客席、物販、展示の比率が都度変えられるよう可変式の家具をデザインした。
木と樹脂アングルを組み合わせた直方体のフレーム家具は縦置き、横置き、積み重ねにより形を変えることができる。
連結には結束バンドを用いることで固定と取り外しが容易に行えるようにした。
上階から落ちる排水管はレイアウト計画をする上で妨げになるが、連結したフレーム棚の一部として取り込むことで、棚の転倒防止を兼ねた要素として活かした。
またRCの小さな空間であることから閉塞感を抑えるため風通しの良いスペースにしたいと考えた。
そこで窓を日常的に開けやすいよう5枚引き戸の網戸を設置した。
水場側はステンレスメッシュ、作業台側はナイロンメッシュを使用し、場所に応じて網の材質を変え用途に対応した。
意図や作り方の共有、可変式の仕組みをデザインしたことで、設計者の手を離れた後も施主自身が自発的に空間の更新を継続できる。
そうした動きのある場所でこそ関係性が混ざり合うと考えた。