information
- 所在地
- 東京都渋谷区神南
- 用途
- オフィス
- 構造
- SRC造地上7階部分
- 床面積
- 465.12㎡
- 施工
- TANK
- 家具
- PROMENADE FURNITURE
- 完成年
- 2023.10.27.
- 写真
- 長谷川 健太
background
化粧品・医薬品の開発からECコンサル・農業に至るまで、幅広い事業を手がけるオーガニックグループのオフィス計画。
計画開始時点では社員数20名だが3年後には70名になる前提で、増員に対応する計画が求められた。
オフィスは働くための場であり、お客様を迎え入れる場所以外は華美な必要はない。
まだ道半ば。見た目よりも社員がアイデアや企画をのびのびと出せる環境を作りたいという代表の考え方を軸に計画がスタートした。
design
プランは来客者が使用する「見せる場」とスタッフが使用する「見せない場」、主にこの2つのエリアで構成した。
見せる場には予算をかけ、見せない場には予算をかけない。舞台と裏方、仕上げと下地、表と裏というような関係性を空間の中ではっきりと表現することで自分たちは生み出す側であり、成長途中であることを忘れないという意思を示すことにした。
既存空間は床がOAフロアにタイルカーペット、天井はジプトーンに白色のLEDベースライトという典型的なオフィス仕様であった。
見せない場となる執務スペースはこの既存の状態を使用し、一部フリースペースは床の仕様を取り除きコンクリートスラブを現した。
取り除いたタイルカーペットは積み上げて雛壇席としたり、作業台としても活用した。
“既製品の本質を理解することで別の分野に転用するアイデアが生まれる”
商品開発におけるこの考え方と同様に、タイルカーペットも本来とは異なる活用方法を取り入れることで柔軟な社風を表現した。
他にも来客の待合スペースの壁と天井には、左官の下塗り剤を仕上げとして使用した。下塗り剤だが凹凸のある魅力的なテクスチャーと、炭素繊維配合のためひび割れが起きにくいという特性が、小さな振動の多いオフィスの間仕りに適していると考えたためである。
仕上がった来客側のスペースと、下地のままのスタッフ側のスペースはフローリング、壁のテクスチャー、照明器具の違いによってはっきりと切り替わる。
それによってマインドをリセットしたり、ギアを入れ替えたりする効果があるように思う。
見せる場、見せない場とはいえ、お互いのスペースを視覚的に遮ることはなくオープンな関係性を築いている。
見せる場から見せない場を眺めると、見た目を気にせず仕事に打ち込む社員の活気が切り取られるように視界に映る。